すぐれたチームをつくり、自分を高みに引き上げ、自らに課した制約を超える その2

昨日の続きです。
冒頭のことばは「一兆ドルコーチ」に書かれていたリーダーが持つべき「自分の成功を測るものさし」として示されたものです。「一兆ドルコーチ」の中から僕が指針としたものを、自分自身の備忘録としてまとめてみます。超主観でまとめています。リーダーとなる人もリーダーのもとで働く人も、ぜひ手に取って読まれ、自分なりの指針をまとめられると良いかと思います。

 

1.思いがけない偶然を生かせ

「大きな運はほとんど予想していない、思いがけない形でやってくる」と記されています。
僕は多くの人に、運は同じように訪れているのではないかと考えています。運の悪い人は、その運が「あまりにも思いがけない」形で訪れるので、思わずパスをしてしまうのではないかと、自分の経験からもそう思っています。運をつかむためには、「天には人にははかることのできない『天の時』と『天の方法』がある」と自分中心を超えた考えを持っていることが必要なのではないかと思います。
僕の尊敬する上場企業の社長は「チャンスはピンチの顔をしてやってくる」と言われます。これもまた名言ですね。

 

2.全人格をかけて仕事をする

「人は『ありのままの自分』をさらけ出し、全人格をかけて仕事をするときに、最もよい仕事ができる」と記されています。会社がそのような土壌を大切にしていることも重要ですが、「ありのままの自分をさらけ出す」はとても勇気のいることですので、個人の考え方・思想がより重要になりそうです。
「決められた作業をいかに速く行えるか」が評価基準である時代はとっくに終わりました。頻発する未知の出来事に遭遇したときに、「ベスト」の対応策にたどり着くためには、短い時間で「深い思想」を始めることがどうしても必要になります。形式的な思考パターンでは「ベスト」の解にたどりつけるはずはありません。「ベスト」は全身全霊を傾けたときに、初めて「天からおりてくる」ものです。

 

3.人に求める4つの資質 その1「遠い類推」

「さまざまな分野の話をすばやく取り入れ、かけ離れたものごとをつなげる発想」と定義されています。
流れが不規則に変わる時代において際立って重要な資質として、この1番目の資質と次項で取り上げるものが挙げられると思います。「遠い類推」ができないと、一見無関係に思われることごとの地下で結ばれている流れに気付くことは難しいのでしょう。
ちなみに、2番目と3番目の資質は、「勤勉」と「誠実」です。

 

4.人に求める4つの資質…その4は「グリット」を持っている

「グリットを持っている」という言葉は市民権を得つつあるようです。「打ちのめされても立ち上がり再びトライする情熱と根気強さ」のことを言うそうです。予測不能の時代であるなら、予知に重点を置くより、事後の対処の的確さ・速さを問う方がずっと現実的なのかもしれません。予期せぬ出来事を前にして、「めげない心」であることが大切な資質となっています。

 

5.正しく勝利する

「チームとして倫理的に正しく勝利する」ことが重要であると記されています。
「何を成し遂げたかではなく、どうやって成し遂げたかを聞く」ことも重要だと言っています。

 

6.親身になる許可を自分に与える

「人を大切にするには、人に関心を持たなくてはならない」「リーダーが率先してメンバーを助けることによって組織がそうした共感を正当化することができる」と説明されています。それと同時に「寛大だが自分の限界は自覚していなさい」とも説いています。
親身になる基準として「会社とチームという、自分より大きなものに献身すること」をリーダーとしての重要な資質と説いています。この文脈の中で「チームに貢献できるものであることが基準となる」と僕は考えます。

 

7.苦しいときにこそ前に出る

「失敗は優れた教師である。負けているときにも誠意と献身を保つ」と記されています。失敗は僕らに「異なる視点」を提供してくれます。
「業務報告にはハイライトと偽りのないローライトを含める」ことが重要だと記されています。言い換えれば、うまくいったことや満足できることと、に加えてこれがあまりうまくいかなかったことの両方が報告に含まれていることが重要になります。失敗が問題ではなく、失敗をどう考えるかが問題であるようです。 研究の結果、「ポジティブなリーダーシップが問題解決を促す」ことが立証されているそうです。「つねに前向きな方法で問題の核心を突く」ことが必要ですね。

 

8.ビジョンは計算を超える

会社には心と魂が必要です。そしてこれらを勝ち取ったときにこそビジョンは意味のある存在となります。
起業する人とは、「毎日が圧倒的に不利な状況の中での生死をかけた闘いだと理解できるだけのまともさと、自分は絶対に成功できると信じるだけのクレージーさを併せ持つ人」と定義しています。
創業者はまさにビジョンの重要さを理解していた人で、会社に心と魂を吹き込んだ人です。ですので、この書では「創業者を愛せ」と説いています。

 

9.部屋の中の大きなゾウにまずタックルしなさい

「部屋の中のゾウ」とは、あらゆることに影を落としているのに誰もが見て見ぬをふりをする大問題のことを言います。つねに最も困難な問題に真っ先に対処することが必要だと説いています。
そうですね、「部屋の中のゾウ」…1頭や2頭ではないように思います。
僕らはともすると「空気を読む」ことが重要だと教えられます。でも本当に重要なことは、空気に囚われずに、核心に迫ることですね。

 

10.立ち上がって応援する

本書では、「ぼやぼやするな立ち上がってチームを応援しろ。チームに愛を示せ」と説いています。その一例として、アイデアを評価するときには大きく5回の手拍子をする…ことを挙げています。チームの成功、他社の成功を心から祝福できる心…これはとても大切ですね。
チームに参加するメンバーは、「一人一人のエゴを超えて、力を合わせればどれほどの価値を生み出せるかを理解できる人」でなければならないと説いています。
また、「誰の手柄になるかを気にしなければ、とてつもないことを成し遂げられる」と記しています。嫉妬やねたみは自身を滅ぼす感情です。しかし、嫉妬やねたみを感じずに生きている人はおそらくいないのではないでしょうか。その局面でわきあがる嫉妬やねたみの気持ちは止められないものであっても、それを速く克服できる人は、大きな仕事をなしうる人だと思います。