カンテラの灯り

土曜日にリーダーのためのセミナーを受けました。お話をしてくださったのは、ダラスから来られたアメリカ人です。ビジネスマンとして、事業家として大成功を収めた彼は、一時日本企業のエンジニアとして開発の最先端に立ったこともあったそうです。今は、優れたリーダーが世界に一人でも多く生まれることを願い、世界を回り「リーダーとは?」を語っています。リーダーとしての基本的な資質は、「周囲の問題ではない。あなたがどこにいるかも問題ではない。地位も関係ない。成長し続けているかが重要です」と、人の成長の上に築かれるものだと説きました。その彼のリーダー観の原点は小さいときのあるエピソードにあったそうです。

週末に家族でよく湖に行ったそうです。人気のない、電気もない、そして道も途中で途切れて歩かなければたどりつけないその湖は、家族の憩いの場だったそうです。そこには大小2つのボートがあって、よくそのボートに乗ったそうです。あるとき、家族が2つのボートに分かれて湖の真ん中に出ていったとき、彼はどうしても自分でボートを操縦してみたい…と言ったそうです。お父さんはそれを許し、お母さんと二人が小さなボートに乗り岸にもどり、彼は妹と二人で湖を探検したそうです。ところが、やがて暗くなり、彼は完全に帰るべき岸を見失いました。妹は兄を責め、そしてお母さんは、二人だけでボートに乗ることを許したお父さんを責めたそうです。でも、お父さんは、その時に自分のすべきことを考えたそうです。あるものをボートに載せ、小さなボートで湖の真ん中に出て行きました。そして、湖の真ん中まで来ると、持ってきたものを高々と掲げたそうです。それはカンテラでした。ひときわ明るいカンテラをボートに載せて漕ぎ出たのです。その灯りは湖のどこにいても見えるものだったそうです。やがて、彼と妹の乗ったボートがその灯りを頼りに近づいてきたそうです。
 
 

20161120-1

 
人が迷うとき、暗闇にいると感じるとき、向かうべき方向を示す灯りとなること…そういうリーダーになりたいと思いました。まだまだ成長が必要ですが、そう誓って帰ってきました。