吹き溜まり

高い夜空に輪郭がくっきりとした月が冷たく輝きはじめた
大きく張った根の間に落ち葉の吹き溜まりを見つけた
少しかきわけて、疲れた足をたたむようにして丸くなってみる
やがておなかのあたりにぬくもりがもどってくる
 
前足を並べて、そこに顎を乗せて、月を見ていると
ある種の思いばかりがよみがえってくる
笑顔を向けてもらったのに、あの時どうして笑顔を返せなかったのだろう
泣いていたのに、あの時どうしてやさしい言葉を見つけられなかったのだろう
せっかく会えたのに、あの時どうして話しかけられなかったのだろう
 
僕の血はそんなたくさんの行き場のない思いが作り出している
僕の血はこんな凍てつく夜に、どんな夢を僕に見せてくれるのだろう
もし月に願いが届くのなら
誰か僕を抱きしめてほしい

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