屈曲試験 マンドレル どんな試験?

対象規格

JIS K5600-5-1(耐屈曲性(円筒形マンドレル)), ISO1519

試験の目的

マンドレルによって曲げられたときの塗膜の割れ及び金属基板からのはがれの抵抗性を確認します。
塗膜がオーバーベーク(乾燥炉による過熱過多)になると、屈曲性が悪化します。オーバーベークになると塗膜がもろくなり、はく離などの原因となります。耐屈曲性は硬化乾燥状態が良好で塗膜が柔軟性を確保していることを確認する有力な方法です。

準備するもの

(1) 屈曲試験装置

装置には2種類あります。タイプ1(右図参照)は手で持って曲げるものですが、対象試験板厚は0.3mmまでごく薄いものに限定されます。タイプ2(以下にご説明するものです)は、試験板厚が1.0mmまでの(アルミなどの軟質のものはもっと厚くても可)の全般に用いることができます。

(2) マンドレル

マンドレルの直径は、2、3、4、5、6、8、10、12、16、20、25、32mmとなります。

(3) 試験板

他に協定がない限り、約100mm×50mmの長方形で厚みが0.3mmもしくは1mmです。

タイプ1の試験装置

手順

実際のマンドレル屈曲試験機を例に手順をご説明します。

手順

評価方法

通常は目視(合意のある場合は10倍のルーペで)観察を行います。試験片の端から10mm以内の塗膜面は無視して、塗膜の割れ及び素地からのはがれを確認します。
塗膜の割れやはがれが起こるまでマンドレルの直径を小さなものに変えていき、初めて塗膜の割れ及び素地からのはがれが生じたマンドレルの直径を記録します(割れ及び素地からのはがれが起こり始める最小直径を測定します)。

タイプ1とタイプ2について

JIS規格では、タイプ1は試験片の厚さが0.3mmまでが妥当とされています。基本的には手の力で一様で容易に曲げられるものに限定されます。また装置の価格は、代表的なモデルで比較するとむしろタイプ2より高額になります。タイプ2はタイプ1に比べて、試験片の厚みや大きさの自由度が大きいため、一般的にはタイプ2の採用が多くなっています。
試験片の厚みがたいへん薄い場合など、特殊な条件を別にすればタイプ2の方が汎用性があると言えます。

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