デュロメータ硬さどんな試験?

対象規格

JIS K7215(プラスチックのデュロメータ硬さ)/ISO 868
JIS K6253-3(加硫ゴム及び熱可塑性ゴム-硬さの求め方-第3部:デュロメータ硬さ)/ISO 7619-1

試験の目的

対象試料の硬さを押込み硬さにより評価するのが目的ですが、類似の試験と違いのあることをJISは以下のように示しています。

● JIS K7215(プラスチックのデュロメータ硬さ)
押込み硬さの一種であって、試験荷重負荷時のくぼみ深さから求められるものである。したがって、デュロメーターの硬さの数値は、同じ押込み硬さであっても試験荷重除去後の残留くぼみ深さから求められるロックウェル硬さ(JIS K7202)の数値とは常に良い対応関係があるとは限らない。
● JIS K6253-3(加硫ゴム及び熱可塑性ゴム-硬さの求め方-第3部:デュロメータ硬さ)
たとえ個別のゴムまたは配合物で相関関係が成り立つと言われる場合でも、デュロメータの値とIRHD(JIS K6253-2 国際ゴム硬さ)の値とを直接関連付けることは推奨できない。

測定の原理

デュロメータ底部の加圧(基準)面(もしくは加圧板)の中心からは規定で定められた形状の圧子(押針)が突き出ています。加圧(基準)面(もしくは加圧板)が試験片の表面に密着するまで押し当てると、スプリングにより生じた力で押針は試験片を変形させます。

その変形に対して、試料は弾力で反発し、スプリングの力とその反発する力が平衡状態になったところで圧子(押針)は停止します。

圧子(押針)の押込み量を0~100に等分して示します。圧子(押針)が加圧基準面(試験片表面)と同じレベルにあるとき、目盛は100となり、このとき試料の押し戻す反発力は最も高い=硬いということになります。

ヒント! 同じようで異なるもの

ハンマーを落下させるショア硬さとは違うの?
反発硬さを評価するショア硬度(ショア硬さ)とはまったく異なる試験です。
ショア硬さは、先端にダイヤモンド球などを付けた鋼製ハンマーを一定の高さから試料表面に落とし、その跳ね返りの高さから硬さを求めるもので、単位はHSです。米国のショア氏が考案したものと言われています。
どうしてショアAとか言うの?
デュロメータは、最初にこの測定器を製造した米国Shore社の商品名であったと言われています。そのため、タイプAデュロメータ、タイプDデュロメータ の代わりに、ショアA とか ショアD という名称も一般的に使われています。
タイプAは、JIS A形とは違うの?
旧JISであるJIS K6301に規定されていたスプリング式硬さ計で、同JISは1998年に廃止され、JIS K6253において新たにデュロメーターが規定されました。JIS A形はタイプAデュロメーターと比べ圧子(押針)の高さやばね荷重が微妙に異なります。一般にタイプAデュロメーターの方が1~2高くなると言われています。

圧子(押針)の形状と望ましい押し付け圧

測定対象:試料の条件

● JIS K7215(プラスチックのデュロメータ硬さ)
・原則として試験面と裏面は平面で互いに平行であること。
・くぼみが生じたためにその裏面に変化が認められないこと。
・厚さは原則として6mm以上、幅は25mm以上であることが望ましい。
・試料の硬さがタイプDを用いた場合でHDD40以上あれば厚さは2mm以上でも良い。
・試料の厚さが規定より薄い場合、試料の平面度および平行度が良好であれば、何枚か重ねて測定しても良い(その旨報告が要)。
・圧子(押針)の先端は原則として試料の端から12mm以上の位置とする(ただし測定結果に影響がない場合には6mm以上でも可)。
● JIS K6253-3(加硫ゴム及び熱可塑性ゴム-硬さの求め方-第3部:デュロメータ硬さ)
・試験片の厚さはタイプA及びタイプDでは6.0mm以上、タイプEでは10.0mm以上。
・規定の厚さを満たさない場合には積み重ねて測定してもよいが3枚以内とする。
・測定面の寸法は、タイプA及びタイプDでは12.0mm以上、タイプEでは15.0mm以上とする。
・さらに試験片は、押針の接触点から半径でタイプA及びタイプDでは6mm以上、タイプEでは9.0mm以上加圧面と密着できる大きさの平滑な表面を持っていること。

測定時間

● JIS K7215(プラスチックのデュロメータ硬さ)
・衝撃を伴うことなくできるだけ速やかに試料表面に押し付け、加圧基準面と試料をよく密着させる。原則として1秒以内に速やかに指示装置の指針の最大指示値を読み取る。
● JIS K6253-3(加硫ゴム及び熱可塑性ゴム-硬さの求め方-第3部:デュロメータ硬さ)
・加圧板を試験片に接触させた後、規定時間後に読取を行なう。標準規定時間は加硫ゴムで3秒、熱可塑性ゴムで15秒とする(受渡当事者間の協定で別途定めることも可)。

タイプAとタイプDの使い分け

● JIS K7215(プラスチックのデュロメータ硬さ)
・タイプAで硬さ90以上のときはタイプDを用いるのが望ましい。
・タイプDで硬さが20以下のときはタイプAを用いるのが望ましい。
● JIS K6253-3(加硫ゴム及び熱可塑性ゴム-硬さの求め方-第3部:デュロメータ硬さ)
・タイプDで硬さが20未満の場合にはタイプAを用いる。
・タイプAで硬さが20未満の場合にはタイプEを用いる。
・タイプAで硬さが90を超える場合にはタイプDを用いる。
  • COTECプロフィール